コンビニが舞台の小説

今回はみなさんも頻繁にお世話になっているであろう「コンビニ」を舞台にした小説をご紹介します。

コンビニ兄妹 テンダネス門司港こがね村店

町田そのこ 新潮文庫

町田そのこさんは、『52ヘルツのクジラたち』で2021年本屋大賞を受賞されています。

こちらの作品は2020年、文庫書き下ろし。

舞台は九州で展開するコンビニチェーン「テンダネス」。無意識にフェロモンをダダ漏れさせちゃう大人気店長が働く「門司港こがね村店」で繰り広げらる心温まる連作短編集。

とてもとてもよかったです。読んでいて笑みがこぼれる。頬がゆるむ😊

心穏やかな気持ちになりました。

印象的だったのは第3話「メランコリックないちごパフェ」

女子中学生のお話ですが、主人公の女の子がかっこよかった!ホロリとしたお話でもありました。

「夫婦が互いを育てる」「続けられることが才能」など、グッとくる言葉たちもたくさん。

門司港に行ったらこのコンビニがあったらいいのに…と思っちゃいます。

もっともっとここで繰り広げられる物語を見ていたいなと思いました。

ほっこり系のお話が好きな人に、とってもおすすめです。

 

コンビニ・ララバイ

池永陽 集英社文庫

舞台は小さな町の小さなコンビニ、「ミユキマート」。妻子を事故で亡くしたオーナー、そして来るのは訳ありのお客様。みんなそれぞれが泣いて、悩んで、それぞれの答えを見つけていく連作短編集。

こちらはただただほっこりとはいかない物語の数々でした。

ララバイというだけあって、人間臭さや泥臭さ、荒んだ感じの湿っぽい雰囲気もある。でもどこかホッとする場面もある。

「コンビニは賑やかだけど乾いている」という言葉が出てくるのですが、これはコンビニというものを実によく表しているなと思いました。

切ないお話が多かったけど、みんな幸せになってほしいなぁ…

明るい小説とは言い難いけど、コンビニとオーナーの優しさが伝わる作品でした。

 

コンビニ人間

村田沙耶香 文春文庫

コンビニが舞台の小説と言えば?と聞かれたらこちらを真っ先に思い浮かべる方が多いかもしれません。

言わずもがな、2016年の第155回芥川賞を受賞し話題となりましたね。

コンビニバイト歴18年の主人公。36歳、彼氏なし。店員でいるときのみ世界の歯車になをれる。「普通」とは何か?を問う衝撃作。

読者の目から見たらかなりの変わっていることは否めません。が、一緒に働いている人からしたらかなり仕事に熱心で真面目な人。

私個人の意見としては、36歳、彼氏がいなくて、18年間アルバイト生活というのがそんなにおかしなことではないと思っています。彼女が思うことがすべてわからないわけでもないし。

ここまで極端でなくても、今の世の中に生きづらさを感じている人はいるはず。

普通って何?というテーマは本当に難しく、誰もバシッとは答えられない問いだと思います。

月並みですが、価値観は人それぞれ。みんな自分が生きやすいように、自然に‟普通”を選択して生きている。

その‟普通”が他の人と違ったっていいんじゃないと思えます。

短いですが、考えさせられる深い作品です。

 

今回は私たちにも大変身近な「コンビニ」を舞台にした小説を紹介しました。

今後もいろいろな切り口で文庫本を紹介していきます。

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そら

◆小説が好き
(ホラー、ファンタジー、
 時代小説は好みません😅)
◆月に15冊が目標
◆好きな作家:原田マハ、
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◆これまで読んだ文庫本は
 600冊ほど(紙派です)
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