今日は何の日?
今日は駆け落ちの日。
1938年(昭和13年)、女優の岡田嘉子さんと日本共産党員で新協劇団の演出家であった杉本良吉さんが、当時日本領土であった樺太の国境を越えてソ連へ亡命したそうです。
こちらは駆け落ち事件として連日新聞に報じられ、日本中を驚かせたようです。
ということで、今回はそんな駆け落ちに関する小説をご紹介します。
蛇行する月(双葉文庫)
桜木紫乃
北海道から東京へ駆け落ちした順子。貧しい生活だが「しあわせ」だと伝えてくる彼女に、高校の仲間たちは複雑な気持ちを抱く。それぞれの女性たちが見つけるしあわせとは?
全体的に陰のある雰囲気で暗い印象を持つが、一つ一つのお話を見てみると少しの希望を感じることができます。
登場する人物、誰もうらやましいと思わないしなりたくもないけど、それぞれがささやかなしあわせを見つけている。しあわせは自分で決めるもの、それがよくわかる1冊です。
順子以外の人物の主観で物語はすすむけれども、軸には順子がいて、やっぱりこの本の主役は順子なのだろうと思います。
自分の人生を丸ごとささげた順子。彼女が幸せであったのであればそれでいいんだと思おう…
切ない余韻が残る作品でした。